かつらユーザーも気になる植毛その2(自毛植毛)について

自毛植毛について

さて、今回は以前にお話しした”植毛その1(人工毛の植毛)について”の続きで”自毛植毛(移植)”についてです。

前回の植毛その1はコチラ

近年では植毛と言うとこの”自毛植毛”を指すようになりました。 この植毛方法も様々な特徴やメリット・デメリットが有ります。

かつらユーザーにとっても気になる内容だと思いますので、分かり易く説明していきます。 *本内容は自毛植毛の経験者やクリニックの関係者の話などをもとにしています。

 

自毛植毛とは?

自毛植毛とは、簡単に言えば「毛のある部分から毛の無い部分に髪の毛を移植する」というものです。
かつらオンラインのお客様でも過去に行なったことが有る方もいらっしゃいます。

薄毛は加齢と共に脱毛するケースがほとんどです。 中には火傷や円形脱毛症、投薬による脱毛、傷跡の脱毛なども有りますが、通常は脱毛と言えば大部分が加齢によるものです。 そして、その場合の毛の抜け方ですが、前や天頂部が目立つケースが大半を占めます。

 

そこで、横や後ろの比較的に丈夫な毛を1~3本ずつ採取して、薄毛の目立つ部分に移植します。 これが”自毛植毛(移植)”です。 当然、これは医療行為なので医師免許や看護師資格をもった専門家がこれを行ないます。

 

通常、髪の毛は健康な一つの毛穴から1~3本ほど出ています。 これを1株として、1000株から3000株を移植するのです。

気になる費用は、1株を500円~1000円(クリニックによる)として、実施する本数(株数)にもよりますが、最低でも数十万円から高ければ200~300万円ぐらいかかります。

本数とは言わずに株数と言うのが、かつらメーカーで行なっている増毛とは違う点ですね。

 

頭皮の毛穴の様子

 

自毛植毛の種類

この自毛植毛にはFUEとFUTという2種類有ります。 FUEは1株1株を横や後頭部から採取して、1株1株移植します。 FUTは後頭部から横長の長方形でまとめて皮膚を採取して、1株1株に分けた上で移植します。

FUEは手間はかかりますが、自然な仕上がりなので最近はFUEのほうが主流になっているようです。

 

手術には、最低でも丸一日かかります。 そして、髪の毛の丈夫な頭部を切除して株を採取して、薄毛の目立つ部分に穴を空けて1株ずつ移植するので、麻酔をかけた上で行ないますが当然出血も伴います。

手術後も数日間安静にする必要があり、手術後の傷跡が目立たなくなるまでに2週間から3週間かかります。 更に手術直後には、麻酔による顔の腫れも有る程度出る様です。

 

植毛手術後

 

自毛植毛のメリット・デメリット

 

では、自毛植毛の良い点・悪い点はというと…

 

・メリット 仕上がりが割と自然。自毛なのでメンテナンスが要らない

この”仕上がりが割と自然”ですが、手術するクリニックと医師の腕によりますので注意が必要です。 「とにかく、大量の患者(顧客)をこなして利益を最大限に!」なんていう事をメインにしている所は、「仕上がりよりも、何株こなしたか?何人こなしたか?」という方針で手術をこなしていると関係者自身から聞いたことも有ります。

きちんと時間をかけて、生え際や毛流を表現できる医師に行なってもらえると、我々プロが見ても「どこまでが本来の自毛か?」判別できないことも有ります。

 

次に”メンテナンスが要らない”は、一旦植毛が頭皮に定着すれば、普段の生活に制約は無いので何も気にせずにいられます。 もちろん費用も掛かりませんので、これは結構大きなメリットですね。

人工毛移植とは違い、自分の毛なので伸びてきます。 散髪は必要になります。

 

植毛した毛が頭皮に定着すると、よほどのことが無い限り大量には抜けません。 もちろん様々なケースが有るので、徐々に抜けたり予想外に数年で抜け落ちる可能性も有るとの事です。 ただ、全般的には移植毛の寿命が来るまでは、抜けないようですが…

 

・デメリット 良い事ずくめのような自毛植毛ですが、当然デメリットも有ります。

費用が高い。術後に普通の生活がしにくい。植毛後も薄毛が進行すれば再手術が必要。仕上がりが悪くてもやり直しが難しい等です。

 

費用は上述したように、通常で100万~200万ぐらいはかかるようです。 「チョットお試しで…」という訳にはいかないので、相応の準備と決断が必要です。

そして、植毛後も薄毛自体は進行するので、他の部分の毛が抜けていきます。 そうなると、植毛した部分と抜けていく部分の差が出てくるので、場合によっては再手術が必要になるケースも有ります。費用も大変ですが、再手術となると時間や手間がかかります。

 

術後に数日間は頭に包帯を巻いて保護をしなければなりません。 包帯が取れてもかさぶたや頭皮の赤み、腫れなどが必ずあります。

ですので、2~3週間は休暇が取れる方でないと、現実的には難しいのでは?と思います。 もしくは、人に会わない仕事の方や、一人で仕事している人、はたまた完全に植毛手術をオープンにしている人だけが実現できるのでしょうか?

 

植毛は腕の良いドクターで

 

気になる仕上がりですが、うまく行ったケースでは結構良い感じになりますが、手術するドクターの腕によっては「これはチョット…」という見栄えのケースも有ります。

NGなのが、剃り込みのカバーや額を狭くする場合の、生え際ラインが一直線だったり、不自然にジグザグになるケースです。(ネットにも多くの画像が有りますネ) 植毛手術を行なうドクターの全てが元々外科医の方です。 ですので、決して”ヘアスタイルの専門家”では無い訳です。

それでも、植毛手術を長年こなしているようなドクターの場合は、生え際のデザインや毛の流れ、根元の立ち上がりなどを患者に合わせて最適なものを提供できている場合も有ります。

反対に手術経験が浅くて、ヘアスタイル作りのセンスが無いと、「これはチョット…」の結果になりやすいと言えます。

(もっとも、これは増毛でもかつらでも同じことで、良くない担当者にあたれば良くない結果が出るのと同じですね。)

 

結局、植毛をするべきか?

それでも植毛をする場合は下記に注意をして検討して下さい。

・若い人は極力やらない 剃り込みのM字や額が上がってきた等の場合は、更に脱毛が進行する確率が非常に高いです。ある程度、脱毛の進行が収まるまで待つことが肝要です。

・いくつかのクリニックを回って腕前を見る 出来れば、医師自身が植毛をしているか、スタッフがしているなら仕上がりを確認できるのでベストです。 あくまでも手術は職人芸的なものです。 その人の腕前を見極めることが肝要です。

 

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